6/19/2008

今日たまたま見つけた「日経レストラン」の記事で仕事帰りに渋谷に『おいしいコーヒーの真実』(原題『BLACK GOLD』)を観に行った。
http://nr.nikkeibp.co.jp/topics/20080618_2/

映画はエチオピアのコーヒー生産者と農協の代表者を中心にコーヒーの価格がいかに不当に低く、生産者が貧しい暮らしを強いられているかということを描いたドキュメンタリーでマイケル・ムーアほどやらせくさくもコミカルでもなく淡々と話は進んで行く。どちらかというとNHKスペシャルっぽいふつうのドキュメンタリー。フェアトレード・コーヒーの存在は知っていたし買ったこともあるので別に今さら発見というのは無かったが、まあまあおもしろかった。
http://www.blackgoldmovie.com/
http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/

で、問題は上映後だ。灯りがついて帰ろうとしたら、「それではこれからトークショーをはじめます」と言われた。(むちゃくちゃ小さなミニシアターなので場内アナウンスではなく入り口にいた係員が大声で言っただけ)。
トークショーがあるとは知らなかったが、まあついでだと思い聞くことにしたら出てきたのはいかにもLOHASな感じの3人の女が入ってきた。化粧っ気の無い顔に、白っぽいTシャツにジーンズとかラスタカラーのエスニックっぽい服とか、まあそんな感じ。フェアトレードコーヒーを売る店や卸の仕事をしているということだった。だが、この女たちはアフリカのコーヒーを売っているのかと思いきやアフリカではなくエクアドルだという。で、エクアドルでいかにコーヒーを生産しているのかという話をしたのだが、これがさっきまで映画でやっていた貧しくて飢餓に襲われているというエチオピアの惨状とはまったく違っていて、「貧しいながらもみなさん自然と共生して生きていて、みんな生き生きしていて楽しそうに生活しています。私たちも彼らのように生きたいですね」みたいな、かなりフワフワした感じなのだ。
で、しゃべり終わった後、質疑応答で「どういう経緯で今の仕事をやることになったのか?」と聞かれたときの回答が、一人は大学で文化人類学を専攻していてフィールドワークでエクアドルに行ってエクアドルの人のすばらしさに魅かれたからとかピースボート(!)に乗って南半球を回っているときに出会ったとか、もう絵に描いたようなというかなんというか。
映画は直接的にはそれほど攻撃しているわけではないが、欧米諸国の貿易政策の理不尽さとか、巨大企業の非倫理的な態度とかも描いていたにもかかわらず、こちらは「みんなLOHASな生活をひとりひとり実践することで世界が変わるかもしれませんね」、みたいな軟弱さなのだ。確かに、いまどき革命だとか言ったところで若い人間が付いてくるとも思えないが、しかし、まだまだ若いのに隠居生活のじいさんみたいな態度でほんとにいいのか? まあしかし、客層もみんなそんな感じだったし、それはそれでいいのか。俺がまったく場違いだったことだけは確かだ。
http://www.slowwatercafe.com/cafe-index.html

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