2/04/2013
峯岸みなみと握手会
今回の峯岸みなみの「騒動」をAKB48グループの恋愛禁止のルールの問題だという論説があるが、これは明確に間違っている。これは握手会とセットで考えるべき問題である。
世間的にはあまり評判のよくない握手会だが、少なくともAKB48グループのCDの売り上げや人気の下支えが握手会によるものであることは厳然とした事実である。これは単純にいうと、CDを買うとそれに握手券が付いていてそれを持って握手会の会場に行けば目当てのメンバーと握手ができるというものである。詳細には全国握手会と個別握手会があり、それぞれルールが異なるのだが、大雑把に言えばCDを買えば握手ができるという仕組みだ。全国握手会では1枚で一瞬、個別握手会では数秒程度の握手ができるというのが暗黙のルールとなっている。長い時間握手したり、複数のメンバーと何回も握手をしたければ握手券目当てでCDを大量に購入する必要がある。こうしたファンの大量購入によりAKB48のミリオンセラーが達成されている。ファンは金を払ってアイドルとの接触の時間を購入していると言い換えても同じことだ。
さて、ここで恋愛である。言うまでもなく性的交渉があろうとなかろうと恋愛となれば特定の異性と長時間一緒に過ごし、身体的接触もあるのがふつうだ。ファンは千数百円のCDと引き換えにわずか数秒の接触しか許されないのに恋愛対象の異性は無条件で接触し放題というのはファンの心理からすれば納得いかないだろう。金を払って握手をする者は激減するだろう。つまり、CDの売り上げは適正なものとなるだろう。これはAKB48グループにとって致命的な問題だ。だからこそ運営側が恋愛禁止というルールを設けていることは間違いない。この握手会が単なるイベントで基本的に無料であったり、そもそも握手会をしなければ、恋愛それ自体は依然としてスキャンダルではあってもこれほど大きな問題となることはなかった。2月1日に公開された映画「DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」で、高橋みなみが「(恋愛禁止のルールを破れば)辞めなきゃならないでしょうねえ」と語っていたのはもちろんそういう状況を理解した上での発言である。旧来の疑似恋愛的な感情を裏切ったという心理的な側面がないわけではないが、AKB48グループが握手会商法を行っている以上、それは疑似恋愛といった感情のレベルではなく、即物的に接触の時間=金銭を(ファンから見れば)不当に取得・簒奪している者がいるという金銭的・物理的な問題なのである。
最低でも芸を切り売りしているのであれば、歌やダンスを見るその対価として金を払ったのだとして恋愛スキャンダルは処理することができるが、ただ握手して一言二言交わすために金を払ったのだとすれば、そうした日常的な接触をタダで行える異性の存在というのは看過しえない。嫉妬とともに別のボラれた、金をドブに捨てたという感情が湧くのは無理もない。
恋愛禁止のルールは原因ではなく、握手会という商法の結果である。
したがって、今回のような騒動を本当にやめさせるには握手そのものをやめてしまうか、金銭と握手の交換をやめて無料で握手し放題にするかのどちらかしかない。それはAKB48グループのひとつの終焉をもたらすことは明らかだろう。
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